特別養護老人ホームで看取りはできる?家族が後悔なく過ごせる5つのポイント

特別養護老人ホームで看取りはできる?家族が後悔しないためにできることと表記した愛キャッチ画像。 本と桜の花あり

「特別養護老人ホームで看取りはできるの?」
「苦しんでほしくない」

慣れ親しんだ施設で最期を迎えたいと思っていても、施設での看取りに不安を抱く方は少なくありません。

特別養護老人ホームは積極的な治療を行う場所ではなく、生活の場です。

しかし、体調の変化に合わせてケアを見直し、その人らしい最期を支える役割があります。

この記事では特別養護老人ホームの看取りの実際から、家族が後悔しないための方法について解説します。

看取りの現実が分かることで、不安が和らぎ、納得のいく選択ができるようになるでしょう。

目次

特別養護老人ホームで看取りはできる?

特別養護老人ホームで看取りはできるのか⁈という見出しでの画像。
施設の部屋の中で車いすが一台映っている

特別養護老人ホームで看取りを行うことは可能です。

医療的な対応や、病院との連携がどのように行われているのか解説していきます。

特別養護老人ホームで最期を過ごす方はいるのか

特別養護老人ホームで最期まで過ごす方は多くいます。

施設の方針や体制によって対応は異なりますが、全体の80%ほどの施設が、最期まで寄り添う体制を整え本人と家族を支えています。【1】

入所される方の多くは「要介護3」以上で、重度の介護や医療的なサポートを必要とされる方も少なくありません。【2】

そのため、体の状態が変化しても、スタッフがサインを見逃さず、最期まで見守る環境になっています。

医療的な対応はどのように行われているのか

特別養護老人ホームでは、日頃の健康管理から緊急時の対応まで医師と看護師が連携して対応しています。

特別養護老人ホームの多くは、常に医師が常駐しているわけではなく非常勤です。

しかし日中は看護師の配置が義務づけられており、医師の指示のもとで点滴や経管栄養といった医療処置も行っています。

特に「看取り」を行う施設では、24時間いつでも看護師が駆けつける決まりがあり、医師と連絡を取り合いケアを実践します。【2】

もし施設だけでは対応が難しい状態になっても、提携している「協力病院」に連絡を取り、受け入れの準備をして対応しているのです。

病院での対応が必要なのはどのようなときか

施設でのケアを大切にしながらも、苦痛を取り除き、安全を守るために、病院の力を借りることもあります。【4】

具体的には以下のようなときです。

・病状の変化が大きく苦痛を和らげるため、医療ケアが必要だと判断された場合

・24時間にわたり痰の吸引が必要になるなど、夜間の施設体制では安全を守りきれないと判断された場合

・高度で専門的な処置や診療が必要だと判断された場合

施設と病院の役割を活かしながら、そのとき「どこにいるのが一番穏やかに過ごせるか」を、柔軟に選ぶことが、安心した看取りにつながります。

看取りとはどのような状態?

看取りとはどのような状態?の見出しの画像。
緑の葉が日にあたり透けて見えている

看取りとはどのような状態なのか、体の変化と合わせて解説していきます。

看取りとは何なのか

看取りとは人生の最終段階を迎えた人が、その人らしく過ごせるよう本人・家族・スタッフが関わりながら支えることです。

大切なのは本人の意思であり、気持ちは心身の状態とともに変化していきます。

そのため家族やスタッフが話し合いを繰り返しながら、そのときの最善を柔軟に探していく姿勢が欠かせません。

痛みや不快な症状をできる限り和らげ、穏やかに過ごせる環境を整え、後悔のない時間を過ごすことが大切です。

看取り期に見られる体の変化

看取り期に入ると、体にさまざまな変化が現れます。

具体的には以下のような症状があります。【7】

・食べる力や飲み込む力が弱まる

・眠っている時間が少しずつ増えていく

・呼吸が浅く不規則になる

・全身のだるさや痛みを感じることがある

原因は、老衰や末期がん、心臓や肺の持病の悪化など人によりそれぞれです。

こうした体の変化はスピードも程度も人により違います。
体への負担を最小限に抑え、苦痛を和らげるケアを行うことが大切です。

特別養護老人ホームの看取りケアの実際

特別養護老人ホームの看取りケアの実際の見出しの画像。
高齢者と医療従事者が手を取り合っている写真。手元だけ見えている。

特別養護老人ホームで行われている身体的ケア・精神的ケア・家族のケアについて説明します。

身体的ケア

特別養護老人ホームでは「痛い」「苦しい」といった辛さを和らげるケアが中心です。

痰が絡んで呼吸が苦しいときは、痰を取り除く処置や姿勢を整え、場合によっては鼻から酸素を送り呼吸を助けることもあります。

また、痛みが強いときは医師と相談しながら、薬で痛みを和らげるようコントロールするのです。

積極的な治療をしないから、何もしないのではなく、医療面や環境面などさまざまな角度から本人に何が最適かスタッフで検討します。

精神的ケア

本人が安心して生活できるよう、言葉や表情から気持ちを汲み取り、思いに寄り添うケアを行います。

症状や時間の経過とともに気持ちは変わるため、思いを表出しやすい関係作りが必要です。

好きな音楽を聞いたり、体調が許す限り行きたい場所に行ったり、本人の願いや大切なことを守れるように支援していきます。

食事が入りにくくなっても、すぐに点滴にするのではなく、食べたいものを食べられる形にできないか、飲み込む力を見ながら検討します。

たとえ認知症で言葉がなくても、表情や利用者の生活や背景を思いながら丁寧に声かけケアを行うことが大切です。

家族へのケア

家族への援助も本人のケアと同じくらい大切です。

一度は看取りに合意しても、死が近づき、苦しそうな表情をみたとき思いが揺れることも少なくありません。

介護士や看護師はそうした家族の思いを汲み取り支援していきます。

現在の状況や、今後考えられる経過を説明して、家族が納得して選択できるよう、サポートします。

経管栄養の導入や点滴を行うかなど、医療的な対応に迷うこともあるでしょう。

家族だけで決めるのではなく、本人の思いを尊重しながら、スタッフとの話し合いを重ね受け入れていくように関わります。

特別養護老人ホームと病院での看取りの違い

特別養護老人ホームと病院の看取りの違いは?という見出しの画像。
医者と患者が向き合い、面談を受けている写真。

特別養護老人ホームと病院どちらも看取りを行えますが、目的や医療的なケアの内容、環境面などに違いがあります。

特別養護老人ホーム病院
目的生活の場治療の場
医療ケア・日常の健康管理、療養上の世話が中心
・喀痰吸引、経管栄養など看護師が対応
・積極的な検査、治療など高度な医学的な管理が中心
・緩和ケア病棟では専門的な疼痛コントロールが可能
スタッフ体制・医師は非常勤が多数
・介護職員が多数
・看護師は少数配置
・医師が常駐
・看護師が手厚く配置
環境・ユニット型個室あり
・家族が個室で過ごせるよう配慮された環境
・治療や観察が優先された環境
・病棟移動がある可能性

【2】【3】

それぞれの違いを理解して、どこで過ごすことが最適なのかその都度考えていくことが大切です。

看取りで家族が後悔を減らすポイント

看取りで家族が後悔を減らすポイントの見出し画像。ノートとペンの写真。

家族が後悔を減らす工夫について5点説明します。

医師と十分に話す

看取りでの後悔を少しでも軽くするために、医師と話し合い情報を共有しましょう。

今の病気の状態や原因だけではなく、病状が進んだ場合の経過や対応について話しておくと見通しが分かり安心です。

たとえば、食事が入らなくなったときの対応や、入院が必要なときの判断などが挙げられます。

病院での治療と、施設で行う医療的なケアは違いがあります。

積極的な治療でできることや、それによる本人への負担も尋ねてみてください。

病気の症状は日々変わっていき、それと同時に本人や家族の思いも変わるものです。

一度決めたらそれで終わりではなく、介護士や看護師からも日頃の様子を聞き、対話を繰り返しながら、理解を深めていきましょう。

本人の価値観を確認する

看取りでは本人の思いや価値観が何より重要です。

可能な範囲で、もしものときに医療的なケアはどうするのか話し合う場を設け、本人の意思に寄り添うことが大切でしょう。

しかし認知症が進んだり、言葉で気持ちを伝えられなくなる場合もあります。

「私たちの選択は間違っていないだろうか」と不安に思うかもしれません。

そんなときは、「ごはんは食べたくない」「この処置はいやだ」など不快なサインを受け止めることも大事になります。

今までの生き方や価値観を思い返すことも、判断を支える1つになるはずです。

家族で情報を共有する

今後の治療や看取りの方針を家族で共有すると、納得のいく判断につながります。

家族の1人だけで決めることは、負担が大きくプレッシャーを感じやすいものです。

そのため家族で病状や今後の見通しなど情報を共有しあい、話し合う機会を設けましょう。

意見がまとまらない場合は家族揃って、再度医師との面談を設け助言を受けるのも1つの方法です。

家族の異なった思いを伝えることで、状況の理解が深まり、考えが整理されやすくなります。

家族間で方針を合意するのは簡単でないときもありますが、1人で背負わず話し合いを進めていくことが大切です。

医療連携を確認する

看取りを考える上で施設の医療体制について知っておきましょう。

体調に変化があった場合、適切に対応してもらえるか、把握できるためです。

特別養護老人ホームの多くでは、医師は非常勤で常に施設にいるわけではありません。

体調の変化があった際は、看護師が医師へ連絡し、指示を受けながら対応する体制がとられていることが一般的です。

また施設により看取りに対する考え方や、対応できる医療ケアも異なります。

付き添い環境や、医療ケアの内容など、具体的に把握しておくと看取りの際安心した環境で過ごせます。

可能な範囲でそばにいる

看取りに向かう過程で家族がそばにいることは大切です。

人によりさまざまですが、状態は日々変わり、昨日まで分かっていたことも、分からなくなる場合もあります。

可能であれば個室で家族の時間を大事にしてください。

聞きなれた家族が声をかけ、そばにいることで、安心した最期を過ごせるでしょう。

まとめ

特別養護老人ホームでは看取りケアを受けられる施設は多くあります。

スタッフが連携して、体の状態に合わせたケアを行い、本人と家族が穏やかに過ごせる時間を支えています。

施設ごとに対応している医療や看護の範囲に違いもあるため、確認しておくと安心です。
病院とも連携しながら、一番最適な場所を検討できるでしょう。

看取りは本人だけでなく、家族にとっても、大きな出来事です。

本人の価値観を大切にしながら、医師やスタッフと話し合いを重ねていくことが後悔の少ない看取りにつながります。

参考文献

【1】厚生労働省:令和6年度介護報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001151943.pdf

【2】厚生労働省:介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663498.pdf

【3】厚生労働省:【テーマ1】看取り
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156002.pdf

【4】厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf

【5】公益社団法人日本看護協会:人生の最終段階における医療と倫理 | 看護職の皆さまへhttps://www.nurse.or.jp/nursing/rinri/text/basic/problem/jinsei.html

【6】厚生労働省:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

【7】高齢者の緩和医療(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/48/3/48_3_216/_pdf

【8】介護医療院に活用できるエンドオブライフ・ケア に関する文献検討(J-STAGE)https://www.jstage.jst.go.jp/article/wellbeing/12/0/12_92/_pdf/-char/en

【9】終末期患者の家族が看護師に求める看護へのニーズ(J-STAGE) https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkouigaku/31/4/31_433/_pdf/-char/ja

【10】社団法人 日本老年医学会 :高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン 人工的水分・栄養補給の導入を中心として
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/jgs_ahn_gl_2012.pdf

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